進む大学改革、これから狙い目学部は?
2026.1
進む大学改革、これから狙い目学部は?
2026.1
大学・学部選びの際、どうしても現在の評判や偏差値を頼りがちになります。 しかし進学後はもとより卒業後を考えた時、もっと先を見据えた〝お得大学〟を選ぶ手があるかもしれません。 各大学は今、大再編・統合時代を見据えた改革が迫られているからです。
文部科学省は2025年11月、「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)」(仮称) の骨子を発表しました。高校授業料の実質無償化で私立高校人気が高まることが予想されるため、公立高校にてこ入れをするためです――。こう書くと「何だ、高校の話じゃないか。しかも在校生には関係ないや」と思われるかもしれません。しかし骨子には「高校から大学・大学院に至るまでの一貫した教育改革により、強い経済や地域社会の基盤となる人材育成を実現」という、注目すべき一文があります。つまり高校改革はあくまで手始めであって、大学はもちろん大学院進学の促進も視野に入れた改革を行おうとしているのです。
グランドデザイン骨子は、松本洋平・文部科学相を主査とする省内タスクフォース(特別作業班、TF)が検討したものです。六つの検討事項のうちトップが「高校から大学・大学院までを通した人材育成システム改革のビジョンの策定について」です。
注)文部科学省資料から抜粋
大学は今、「2040年問題」に揺れています。大学入学者が約46万人と、24年(約63万人)に比べ4分の3以下になってしまうからです。 小中規模の大学はもちろん、大規模大学も安泰ではありません。 しかも伝統的な大規模校は大都市圏に集中している上に、理工系が少ないという問題を抱えている他、近年では高所得層の出身学生が多くなっています。
注)文部科学省資料から転載
https://www.mext.go.jp/content/20251210_mxt_koukou01_000046218_0004.pdf
しかし大学などの高等教育が細ってしまったら、人口減少社会での成長は見込めません。そこで国は、成長分野や地方を重視した人材育成を強化しようとしています。
具体的には▽人工知能(AI)をはじめとした理工系人材▽地域を支えるアドバンストエッセンシャルワーカー(デジタルを活用できる生活必須職従事者)――の育成です。
というのも40年には事務系の「ホワイトカラー」人材が約320万人も余る一方、数理・デジタル分野の専門人材は逆に約330万人も足りなくなると予想されているからです。
さらにエッセンシャルワーカーの不足は、約450万人にも上ります。
注)文部科学省資料から転載
https://www.mext.go.jp/content/20251210_mxt_koukou01_000046218_0004.pdf
そんな将来を見据えて文科省は22年度補正予算で3000億円規模の基金を創設して、デジタルやグリーン(脱炭素)といった成長分野に学部・学科転換しようとする公私立大学を支援してきました。
24年度補正では、これに200億円を追加しました。
過去5年間で理学・工学・農学系分野への転換は計15学部と、人文・社会科学系の計17学部に及びません。
しかし今後、地方を含めデータサイエンスをはじめとした転換が促進されることでしょう。看護・福祉系も、地方での維持・強化が図られるものとみられます。
高校は普通科の7割が文系なのが現状で、必ずしも理系が得意ではないかもしれません。しかし先に見たように、大学は生き残りに必死です。学部転換を契機に、理系が不得意な学生も想定して初年次教育に力を入れる大学も出始めています。 今後そうした「面倒見のいい大学」を見極めることで、4年後の就職が有利になるかもしれないのです。少なくとも高校の情報科を真面目に勉強しておいて損はなさそうです。
渡辺敦司(わたなべ・あつし)
教育ジャーナリスト
1964年北海道出身、横浜国立大学教育学部卒。教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て98年よりフリー。主著に『学習指導要領「次期改訂」をどうする―検証 教育課程改革―』(ジダイ社、2022年10月)。