子どもと一緒に考える
~保護者が知っておきたいオープンキャンパスの歩き方~
子どもと一緒に考える
~保護者が知っておきたい
オープンキャンパスの歩き方~
2025.8
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~保護者が知っておきたいオープンキャンパスの歩き方~
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~保護者が知っておきたい
オープンキャンパスの歩き方~
2025.8
志望校選びの情報源として、ホームページ、パンフレット・大学案内と並んで重要なものがオープンキャンパスです。オープンキャンパスは高校生やその保護者が大学を実際に訪れ、大学、学部・学科ガイダンス、模擬授業、個別相談、キャンパス見学などのプログラムに参加することで、体験的に志望校のことを知ることができます。またホームページやパンフレットでは伝わってこないキャンパスや、在学生の雰囲気を感じられることもオープンキャンパスならではのメリットです。
ここでは大学で実施されるオープンキャンパスについて説明していきます。
オープンキャンパスでは、高校生や保護者が大学について深く理解できるよう、さまざまなプログラムが用意されています。以下は主な内容です。
大学全体の特色や教育理念、学部ごとのカリキュラム内容、就職実績などについて、教職員から詳しい説明を受けることができます。パンフレットだけではわからない、大学の雰囲気や方針を知る貴重な機会です。
一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜などの出願方法や試験内容について詳しく説明されます。試験対策のポイントも聞けることがあります。
実際の大学の授業を短時間で体験できるプログラムです。講義形式だけでなく、グループワークやディスカッションを取り入れることもあり、高校の授業とは違った大学での学びのスタイルやレベルを体感することができます。
在学生やスタッフの案内で、教室、図書館、研究室、学食などの施設を見学します。大学での生活イメージが具体的に湧きやすくなります。
入試制度、学費、奨学金、学生生活、留学制度など、個別に質問・相談できるブースが設けられています。受験から入学後のことまで、さまざまな疑問にも丁寧に対応してもらえます。
大学生活や受験体験について、現役の学生から直接話を聞くことができます。パンフレットやホームページには載っていないリアルな声を聞けるため、人気のプログラムです。
これらのプログラムを通じて、高校生は志望校選びに必要な判断材料を得ることができ、保護者にとっても大学の教育環境や経済面の情報、就職・資格取得などの支援体制を確認する場となります。
オープンキャンパスは年間を通して複数回にわたって実施されます。多くの大学では開催時期によって内容を変えることが多く、志望する高校生にあったプログラムを設けています。
多くの参加者が見込まれるため、大学側も模擬授業や学科説明会、キャンパスツアー、個別相談、在学生との交流など、内容を充実させています。特に3年生にとっては進路決定の最終段階に入る時期であるため、入試情報や受験対策の説明にも重点が置かれます。また志望校を比較するため複数の大学のオープンキャンパスに参加することになりますので、夏休み期間中を通して複数の日で開催します。
9月以降に開催されるオープンキャンパスでは、推薦・総合型選抜を視野に入れた説明会や、対策講座が行われるケースが多く、受験準備を進めるうえで重要な情報を得ることができます。この時期のオープンキャンパスは入試直前の情報収集や、最終的な志望校決定が主な目的となります。
この期間に開催されるオープンキャンパスは他の時期と比べると多くありませんが、受験生向けの「直前説明会」や「個別相談会」が行われる場合もあります。これは一般選抜を控えた受験生を対象に、試験当日の注意点や出願方法、直近の合格者の傾向などの情報を提供する場となっています。出願の段階で志望校の変更や、追加をする場合に直前の情報入手の手段として利用することもできます。
新高校3年生がいち早く志望校選びを始めるタイミングとして活用されています。この時期はまだ受験モードに入っていない生徒も多く、全体的に「大学生活のイメージをつかむ」ことを目的とした内容が中心です。キャンパスの雰囲気を知る入門編として位置づけられます。
このように、時期によってオープンキャンパスの内容や目的は異なります。志望校の情報を深めるには、複数の時期に参加して、それぞれの視点から大学を見比べることも効果的です。
オープンキャンパスに参加する際は、単に雰囲気を感じるだけでなく、志望校選びの判断材料となる重要な情報を自分の目と耳で確認することが大切です。以下は、特に注目しておくべきポイントです。
学部・学科の説明会や模擬授業を通して、「何をどう学べるのか」「自分の興味・将来と合っているか」を確認しましょう。専門科目の深さや、ゼミ・研究活動の充実度も要チェックです。
入試説明会では、最新の出題傾向や選抜方式(総合型・推薦型・一般選抜など)を確認し、どの方式が自分に合っているかを見極めましょう。
大学での学びがどのように将来に結びつくのか、キャリア支援の体制や卒業後の進路実績も確認しておきたいポイントです。
在学中に留学や海外研修を体験する学生は少なくありません。また大学院への進学者は、特に理工系学部で多く、理学系45.9%、工学系39.7%と高く(※文部科学省 令和6年度学校基本調査より)、学部修了後のことも確認しておくとよいでしょう。
学費や生活費がどれくらいかかるか、奨学金や学生支援制度が充実しているかも見ておきましょう。特に保護者にとっては進学に関わるマネープランを立てるために重要な情報となりますので、卒業までの在学期間中に必要な学費、実習費等の入学後に必要になる費用も確認するようにしましょう。
教職員や在学生と接する機会があれば、「質問しやすい環境か」「学生が生き生きとしているか」といった雰囲気も感じ取ってください。リアルな学生生活を知るヒントになります。
図書館や実験室、PCルームなど、学習環境としての設備が整っているかを確認しましょう。また、食堂、トイレ、学生ラウンジなどの生活面も大切です。
最寄駅からのアクセスや所要時間、キャンパス周辺の治安や住環境も確認しておくと安心です。保護者の目線でも安全性を見ておくとよいでしょう。
これらの点を意識して参加することで、パンフレットやホームページだけでは得ることのできない、「その大学ならではの魅力」や「進学するための課題」が見えてきます。参加後は、印象や気づきを記録し、比較検討に活かすとより効果的です。
オープンキャンパスには、できるだけ早い段階から参加することが望ましいです。多くの大学では高校1年生や2年生も歓迎しており、志望校や進路をじっくり検討するためにも、高校1年生の夏からの参加がおすすめです。学年別の参加目的を整理しました。
★この時期は「知る」ことが主な目的です。複数校のオープンキャンパスに行って、違いを感じ取るのが有効です。
★この時期は「比較・検討」がポイント。具体的な志望校の候補を絞り、受験準備の土台を固める段階です。
★この時期は「最終確認と出願準備」。時間に限りがあるため、効率よく情報収集を行いましょう。
学年が上がるにつれ、目的は「大学を知る」→「学びを深める」→「受験に備える」と変化していきます。早期からの参加が、余裕ある進路選択につながります。
パンフレットやホームページで掲載されている情報は、学部・学科の内容や受験情報と比較すると、学費や奨学金に関する情報は充分とはいえません。オープンキャンパスに参加し、個別相談などのプログラムを利用すれば、足りない情報を確認し、不安に思っていることも解消することができます。
パンフレットやホームページでは初年度納入額のみしか掲載されていないことが多くあります。2年次以降に授業料等の値上げがあるかを確認し、卒業までに必要になる金額を確認します。
特に理工系や、医療系、芸術系の学部では実習・研修等に関わる費用が必要になり、かつ高額になる場合もありますので確認は必須です。
在学中の留学を希望している場合は、留学中に必要になる費用とあわせて、奨学金の給付や貸与などの支援制度があるか、留学中の授業料の減額があるかなどについても確認します。
特に理工系学部では大学院への進学する学生が多い傾向にありますので、進学状況とあわせて、進学した場合の費用についても確認しておくとよいでしょう。また近年では学士・修士一貫プログラムを採用し、通常6年(学部4年・修士2年)の課程を、5年または4年で修了できる制度を設ける大学も増えていますので、こうした制度があるかもあわせて聞いてみましょう。
予約採用型奨学金や、スカラシップ・特待生入試など、高校在学中や、出願時期に申込みが必要な制度もあります。どのような制度があり、内容とあわせて、申込み時期も確認しておきましょう。
オープンキャンパスは、大学を自分の目で確かめられる貴重な機会です。限られた時間の中で充実した体験を得るためには、事前準備と当日の行動がとても重要です。有意義に過ごすためのポイントと、参加時の注意点をまとめました。
大学の公式サイトでプログラム内容を確認し、自分が参加したい説明会や模擬授業、個別相談の時間帯を把握しておきましょう。予約が必要なプログラムもあるため、早めの申し込みが肝心です。
気になること(入試、授業内容、学費、学生生活など)をあらかじめまとめておくと、教職員や在学生との会話がスムーズになります。
できるだけ複数の大学に足を運び、雰囲気や学びの違いを比べる視点を持つと、志望校選びに役立ちます。
当日の印象や聞いた情報は忘れやすいため、帰宅後にメモやスマホで簡単な記録を残しておくと、後で比較しやすくなります。
特別な服装は不要ですが、大学関係者や他の参加者と接する場であるため、だらしない格好は避けましょう。また夏に開催されるオープンキャンパスでは暑さに対する対策も必要です。
大学は広く、会場も分かれている場合があるため、余裕をもった行動が必要です。公共交通機関の混雑も想定しておきましょう。
スマートフォンを使ってスケジュール確認や写真撮影をする人が多いため、バッテリー残量に注意。配布された資料もまとめて保管できるバッグを用意すると便利です。
一部の大学では、保護者のみの参加が制限されている場合があります。参加条件は事前に必ず確認しましょう。
大学、開催日ごとにチェックシートを作成して、当日に聞きたいことなどを予めまとめておくと便利です。また参加した際に感じたことや、確認できたことも記録しておけば、後から志望校の比較・検討を行うときに利用することができます。
★「オープンキャンパス チェックシート」のサンプルはこちらからダウンロードできます。(PDFファイル)
オープンキャンパス チェックシート オープンキャンパス チェックシート(記入見本あり)オープンキャンパスに参加できない場合でも、大学の情報を得る手段はいくつかあります。近年は多様な情報発信方法が用意されており、遠方に住んでいる場合や、スケジュールの都合がつかない場合でも情報を集めることが可能です。
多くの大学では、動画配信やライブ配信形式でのオンラインオープンキャンパスを実施しています。学部説明、模擬授業、学生インタビュー、キャンパスツアーなど、対面のプログラムと同様の内容が自宅で視聴できます。オンデマンド型でいつでも視聴可能なものもあり、時間に制約がある人にとって便利です。
各地域で開催される進学説明会や合同進学相談会には、大学ごとのブースが設けられ、教職員や入試担当者と直接話すことができます。複数の大学の情報を一度に得られるため、効率的です。
高校によっては、1校または複数の大学の教職員や入試担当者を高校に招いてガイダンスを行うこともあります。但し授業時間や放課後の時間を利用して行われるため生徒が対象となり、殆どの場合で保護者は参加することができません。
このように、大学で実際されるオープンキャンパスに行くことができなくても、代わりに活用できる情報源はあります。志望校の魅力や自分との相性を見極めるためにも、複数の方法を組み合わせて情報を集めましょう。
オープンキャンパスに参加することは、大学進学を目指す高校生とその保護者にとって、進路選択をより確かなものにするためだけではなく、さまざまな疑問や不安を解消することができる場となります。また進学後は4年間、または6年間という長い期間を過ごすことになる環境を、実際に見て確かめることも志望校選びには重要なことです。何より高校とは大きく異なる大学での学生生活を具体的にイメージできるようになることで、進学へのモチベーションを上げることにもつながっていきます。
オープンキャンパスには、早い時期から積極的に参加し、進路選択に役立てることをおすすめします。そして参加して、見てきたこと、聞いてきたことを親子で話し合い、共有することで志望校選びをより具体的かつ納得感のあるものにするための貴重な機会としてください。