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衆議院議員
下村博文先生に聞く

子どもの可能性を引き出す、

日本が目指すべき

Well-Being な教育とは

世界中の高校生を対象とした調査で、
「日本の高校生は世界で一番自分の人生に意義を持っていない」という結果が明らかに。
そんな子どもたちが将来に夢や希望を持つために、日本の教育はどのような方向転換をすれば良いのでしょうか。

世界中の15歳を比べたら、学力は世界トップレベル、人生の満足度は最下位の国、日本。

PISAというテストを聞いたことありますか?
これは毎年世界中の15歳を対象にした学力テストです。このPISAで日本の結果は世界トップレベルなんです。相当高い。ですから、子供たちの学力は高い。すごく勉強しているんですね。一方、世界の他の国では日本のように学校に行って、その後塾とか予備校に行って家庭教師も含めてそんなに勉強しているわけじゃないんです。
ところが、このPISAの調査で同時に意識調査もしていて、これは『次のようなことは、あなたの人生でどれぐらい当てはまりますか?』という質問が100項目くらいあるんですけど、この意識調査では日本は74カ国中最下位という結果です。どんな項目で最下位かというと、

(1)自分の人生には、明確な意義や目的がある
(2)自分の人生に、満足いく意義を見つけた
(3)自分の人生に意義を与えるものは何か、はっきりわかっている。
このような問題提起に対して「1. 全くその通りではない」「2. その通りではない」「3. そのとおりだ」「4. 全くその通り」っていう4段階で答える。

これを見ると、日本の高校生は世界のこの調査74カ国の中で、最も自分の人生に明確な意義や目的がない。それから、自分の人生に満足していない、自分の人生に意義を与えるものはない...と、最下位なんですね。一方、もう一つの問い、これは100項目ある中から、たまたまピックアップしたものですが、「最近2週間のうちに次のことがありましたか?」という問いで、

(1)学校を無断で欠席した
(2)学校、授業をサボった
(3)学校に遅刻した

それぞれについて「全くなかった」「1回か2回あった」「3回か4回」あるいは「5回以上」という4段階であるとすると、これは74カ国のアンケート調査の中では日本はトップ。つまり世界で一番日本の15歳はサボらない。真面目にちゃんと学校へ行って、遅刻も早退もしない。
にもかかわらず、人生についての目的とか満足は世界で最下位でこれは切ないですよね。

こんなに高校生たちが真面目に一生懸命に勉強もしているし、学校もサボっていないにもかかわらず、何か自分の未来に対して夢と希望とか意義とか持っていない。これは実は高校生だけでなく、大人もそうだと思うんですね。これを変えていかなかったら、日本の未来はないと思うんです。

日本の立て直しには人への投資が最優先

人への投資というのは、一つは経済的な理由もありますね。
今、格差社会が進んでいて、生きていく、生活していくことだけで精一杯な家庭は、子供に対して経済的なサポートができなくて、大学への進学や海外への留学などを断念せざるを得ない。 経済的な格差が結果的には教育の格差にも繋がってしまっているということなんですね。そのために、就業者一人当たりの労働生産性というのは38カ国で28位で韓国よりも低くなっている。また、一人当たりの名目のGDPを見ても、日本は33位ということで、東アジアで香港、台湾、韓国よりも低くなっていると、つまり一人ひとりの労働生産性が低下し、稼ぐ力、国力が低下しているのが現状であると。この時に必要なのはウェルビーイング、つまり人への投資ですね。

一人ひとりがチャンス可能性があって、そして意欲・やる気があれば、自分の能力を発揮する場があります。そのためには、できるだけ教育の無償化もしていく必要があると思うんですが、一人ひとりの教育に対する投資をすることによって、全ての人たちにチャンス・可能性を提供する。
それからあとは、今までの教育っていうのは、インプット教育で与えられたことに対しては素直にやる。遅刻も欠席もせずに真面目に行く。でも何のために勉強するのかっていうことが教えられていないというか、ただ、受験の勉強だけで、本質的に自分がやりたいことではないんですね。やりたいことが見つかっていない。本来、教育・エデュケーションというのは、その人が持っている能力と才能を引き出すという意味があるんです。
インプット的な教育から、教え育てるんじゃなくて、本当は内面に持っているものを開いて育てていく、応援していくというそういう意味での教育から啓育ですね。そういうふうにしていくことが、これから本当の本人の意欲やる気をつくっていくということで、これまでのインプット教育から、アウトプット教育にしていくことが大事だと思います。
志を持って、夢とか希望を持って頑張ろうと。それを背中を押していくような教育に方向転換しないと、日本の活力は戻ってこないと思いますので、ぜひ教育の分野においてウェルビーイング、志教育、本人の意欲能力を育むような教育、それを実現していく。日本の教育の方向転換を今この時にしていくべきだと思います。

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